僕の仕事はまず『ギャップ』を見つけること


僕の名刺には『コンサルティング』という言葉が入っている。グループ名である。僕の中でもこの『コンサルティング』という言葉は消化しきれていない。世間一般で使われている『コンサルティング』という意味が人それぞれで曖昧だし、使う方は自分に都合が良いように使い、受け取る方は過度な期待を持ってしまう。僕の仕事の領域で言えば、フェーズによって役割が違うけど『ギャップを見つけること』と『そのギャップを理解できる形に解釈してあげること』だと思っている。

仕事の主な部分はデータの分析なので、最近では業種を問わずいろいろな方々から問い合わせをいただく。こういうご時世ということもあって、既存のいろいろなデータを活用してマーケティングに活かしていきたい、というのがその理由である。よく聞くキーワードは『優良顧客を見つけたい』とか、『優良顧客になるキーを見見つけたい』と言われる。そういう時に僕は『どういう人が優良顧客なんですか?』と聞くと、ほぼ返答がない。つまり言葉の定義も曖昧であるため、対象(ここで言えば『優良顧客』)がボヤーッとしていて人によって意味が違ってきているところに最初の問題がある。分析というのは対象が曖昧だと答えを出すことができないので、意識を共通化するために言葉の定義を明確にすることを最初に行う。

 

通常、『優良顧客』というのは「たくさん買ってくれて」、「よく買ってくれて」、「長く続く」お客様を指すことが多い。だから、RMF分析を利用して顧客をセグメントする手法が多く使われていている。特に流通・小売の世界ではスタンダードと言ってもいいぐらいに当たり前の分析手法になる。しかし、よくその会社の商材を見ると下は数百円から上は何十万、何百万の商材まで扱っているため、1度しか購入が無いのに金額だけで見ると上位に位置付けられてしまったり、非常に頻度が高いのに1度の購入金額が小さいために下位に位置付けられてしまうケースもある。そんな時には敢えてデシルで分ける方が良い場合もある。つまりお客さんが『当たり前』と思っていることと『そうではないこと』のギャップを指摘してあげて、違う切り口で分析することで顧客が違って見えることを見せてあげることが最初のタスクになる。

 

幸いなことに特定の業界の方だけとお付き合いしているわけでないので、ある業界では『当たり前』のことが違う業界では『斬新』なアイデアであることも珍しくない。それは僕の能力の話ではなく、僕をブリッジとしてお互いの人たちが利益を得られれば僕の存在価値があるのではないか、と思っている。しばらくの間、こんな話を少しずつ書いていこうと考えている。