ネット通販の実態としてはよくまとまっている 「週刊ダイヤモンド 2009 11/28号」 後編


昨日の続きで。

3つはTV通販の話題。ジャパネットがいろいろなメディアを利用してマーケティング活動をしており、売上の43%が紙媒体(TVが29%、ネットが23%、ラジオ5%)というのは結構有名な部分だと思っていたんだけど、記事としては強調して書かれている感がある。まあイメージとしてはTVでの郄田社長のトークが印象的だからかも知れないけど。他のTV通販に比べてジャパネットはダイレクトマーケティングの基本を実施してきているということだと思う。獲得系のマーケティングと維持/継続系のマーケティングをバランスよく回している結果だろう。大方の企業は獲得系と継続系のどちらかの文化で構成されているため、両立が難しい。

これまでCATVやBS/CSの拡大に乗って成長してきたTV通販だが、地デジ化の流れを考えると今までのようにいかなくなってきている。そう考えると、今後はTVの番組そのものがインフォーマシャル色が強くなるんだろうな、と思っている。実際に女性向けのファッション雑誌は『コラボ』と言いながら、ほぼ『カタログ』化しているのと同様に。インフォーマシャルもこれまでのバラエティ的なものからドラマへの組み込みなど巧妙な手法に変わっていく気がする。こうなっていくと僕はよりTVを見なくなるだろうな・・・・。

 

4つ目は従来のカタログ通販大手の戦略に差が出てきているとのこと。千趣会は顧客をセグメント化し、カタログも絞り込み、ECに大きくシフトする。ベルーナはコアユーザが50歳以上という部分に着目して、ECサイトの文字を大きくすることなどの対応、ニッセンは「ネット時代の御用聞き」を目指す。

正直どれもよく分からない、というのが印象。ダイレクトマーケティングの会社なのに感覚がマスマーケティング的(もしかしたら記者のフィルターによってそういう文章になっているのかも知れないけど)。顧客セグメントはこれまでもやってきているだろうし、50歳以上の人たちのネット経由での購入率には疑問があるし、「御用聞き」というのがどういうものかイメージできない。

 

あとネットスーパーと食品メーカの通販参入が書かれている。ネットスーパーは拡大する可能性は十分あると思う。ただし、リアルでいうところの『衝動買い』は減って堅実的な買い物色が強くなるだろう。食品メーカの通販はサントリーウェルネスを先頭にいろいろな会社が手懸けているが、クロスセルがしにくい、という難点がある。現在の新規獲得中心のフェーズから既存顧客中心のマーケティングフェーズになると商品ラインナップが少ない食品メーカの通販はたちまち厳しい状況になる。どこかがこの辺のアグリゲーションビジネスを始めるだろうが、それを利用するということはこれまでのメーカ-流通-小売の方式と同じなので元に戻る形になる。

 

ネットに親和性が高いビジネスは今後も成長していくだろうが、そうでない分野では新しい面での努力は必要になってくるだろう。ネットでの運営はリアルに比べてコストが低い、というのは必ずしもそうとはいえない。

通販が伸びるということは『車』の需要が薄くなることにも繋がるので車の販売台数が下降していくことも避けられないと思うのは僕だけだろうか。