自分の空間を創るヘッドホン 『ATH-ANC7b』


世の中にウォークマンが登場して以来、ヘッドホンは進化をし続けている。それまでは一部のマニアか特殊な事情を持つ人(ミキサーやDJなど)が利用者のほとんどだったため、基本的には密閉型を中心に、軽量型のオープンエアータイプが若干ある程度だった。普段、音楽を楽しむのはオーディオのスピーカを利用することが普通だった。ウォークマンが音楽を外に持ち出し、利用シーンを拡大すると共にヘッドホンも並行していろいろなバリエーションに展開を見せた。その後、デジタルオーディオ機器が登場し、ケータイにも同様の機能が実装され、iPodがデジタルオーディオを定着させ、音楽を聴く場所をマジョリティを塗り替えてしまった。

 

こういった時代の流れもあるが、住宅環境や音楽に対する価値観の変化も大きいと思われる。地方は別にして、都市部の一般的な住宅環境では大音量で音楽を聴くことがほぼ不可能であり、価値観で言えば好きな曲を単体で手に入れることができる「ダウンロード」方式が市民権を得始めている。僕はその1曲よりもアルバム全体を通して判断する方なので、ダウンロード方式は利用しないが、今となってはそう考える人たちは一部の人たちになりつつある。そういう変化に合わせてヘッドホンも数千円で手に入るものから数万円する高級品まで多種多様なラインナップがある。

 


"audio-technica 密閉型インナーイヤーヘッドホン ATH-CK9 BK" (オーディオテクニカ)


僕はここしばらくオーディオテクニカの『ATH-CK9』を利用してきた。インナーイヤータイプのヘッドホンだが、非常に厚みのある音を再現してくれて、音楽のジャンルを問わず満足度の高い音を再生してくれる。iPhoneで聴いても十分納得できる音である。

 


"audio-technica アクティブノイズキャンセリングヘッドホン ATH-ANC7b" (オーディオテクニカ)


そして新たに『ATH-ANC7b』を購入した。こちらは密閉型でノイズリダクション機能を持たせたモデルである。ノイズリダクションのヘッドホンはアメリカン航空に乗る際にBose社のヘッドホンで聴いていたのでその効果は理解していたが、効果と価格のバランスが僕の中で納得できる水準ではなかったので購入までは至らなかった。
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『ATH-ANC7b』の特徴

ノイズリダクション機能

  • 音楽を聴く際にノイズリダクションを利用して高音質を提供するだけではなく、ノイズリダクションだけをするヘッドホンとして利用することが可能。この場合、コードレスで利用することができる。

ヘッドホン機能

  • 密閉式にもかかわらず折りたたみが可能であるため、持ち運びにも便利な構造になっている。

  • ノイズリダクション機能を利用するためには乾電池を利用するが、乾電池が消耗した場合でも通常のヘッドホンとして利用できるスルー機能がある。

  • イヤパッドは低反撥方式を採用していて長時間利用していても疲れや痛みを生じない
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ATH-ANC7b_4

 

実際に利用してみて感じるのは本当に完成度の高い製品である。試しに何人かの友人たちにそれぞれの音楽を聴いてもらったが、誰しもが感動の声を上げるぐらい満足していた。僕の感じではピアノの音や女性ボーカルには非常に向いていて、このあたりの曲を多く聴く人には本当にお勧めである。またWebやカタログに記載されていない良さとして、コードが絡みにくいものを採用している点である。これは『ATH-CK9』のコードもそうだったが、絡みにくい堅さや太さのコードを採用しており、作り手の気持ちを感じる部分でもある。過去においてはSONY製のヘッドホンを連続で購入していたが、前回の『ATH-CK9』といい、今回の『ATH-ANC7b』といい、オーディオテクニカのヘッドホンは良くできていると思う。『ATH-ANC7b』によって電車の中もオフィスの中でも没頭できる時間と空間を手に入れる手段が得られたわけである。ただし、これをして自転車などに乗ることはお勧めしない。周りの現象をキャッチできず、危険な状態になる。