『聖域が聖域でなくなる』ということ



電通博報堂、大幅減収減益 ネット広告が初の前年割れ


 広告大手の電通博報堂DYホールディングスの09年9月中間連結決算は、大幅な減収減益になった。自動車や情報通信などの大手企業がテレビや新聞などの広告費を大きく絞りこんだことが響いた。右肩上がりで伸びていたネット広告も初めて前年を割り込んだ。


 10日に発表した。電通は売上高が前年同期比17.2%減の7858億円、本業のもうけを示す営業利益は61.6%減の68億円、純利益は12%減の71億円だった。ネット広告も6%減った。


 博報堂DYは売上高が14%減の4424億円、営業利益は98.5%減の6千万円、純損益は16億円の赤字(前年同期は22億円の黒字)。ネット広告も実質で3.9%減った。沢田邦彦専務は「ネット広告も含めて、自動車の絞り込みが強かった」と話した。


asahi.com 2009/11/10


いろいろな意味で各社が広告そのものを考え始めた結果の答えがこういう結果になったのだろう。『4マスメディアのパワーが落ちた』というのは早合点で、広告費という巨額の投資に対するリターンが数値化できないと投資対象としない、という流れが出来てきている。また広告全体が一部の産業に依存して成り立っていたことが浮き彫りになった。

ネット広告に関してはYahooやGoogleのようなクライアントが直接取引をするような形態のネット広告にウエイトが置かれた結果なのだろう。

 

広告そのものは商品やサービスを使って欲しい人に伝える役目として今後も必要な機能だと思うし、新聞もTVもネットもそれぞれ役割があると思っている。例えば、広告費の多くをネットにシフトしても、対象商品が高齢者向けの場合にはあまり効果が期待できず、それよりも新聞に分かりやすく展開した方が効果が期待出来るだろう。新聞も大手の全国紙ではなく、地方紙の積み重ねが必要かも知れない。もしかしたら、新聞への広告ではなく、チラシや地域ボランティアへの協賛などもっと地味な戦術が必要なものかも知れない。

 

今後は広告代理店にお任せする広告戦略ではなく、クライアントも広告代理店も商品やサービスをよく理解し、よく考えた上で広告を投下しなければならない時代になるだろう。『勘と経験』から『仮説/検証からの戦略』が求められるようになり、宣伝/広告ももはや聖域ではなくなる。つまり、宣伝/広告のプロではなく、ビジネスのプロが求められる、ということに繋がる、ということになるだろう。