僕の『ブランド感』指標

実は書きかけで状態にしていた文章があって、たまたま今日のJMMを読んだら同じような感覚のコメントが村上龍氏の言葉であったので今日はこのテーマで書いてみたい。

メーカーズシャツ鎌倉というシャツメーカーがあります。愛称は鎌倉シャツです。
( http://www.shirt.co.jp/ )
オンエアは少し先になりますが、カンブリア宮殿で、鎌倉シャツ会長の貞末良雄氏をゲストに迎え収録を終えました。わたしは以前、ミラノやローマ、それにパリで本当にバカみたいにシャツを買って周囲の不評を買っていたのですが、中田英寿が引退してから欧州に行く機会が減り、よいシャツメーカーを探していたこともあって、貞末氏との話は非常に興味深いものとなりました。

まず鎌倉シャツのシャツの品質ですが、ほとんど最高ランクです。イタリアとフランスでシャツを買いまくったたしが保証・断言します。生地、縫製、デザイン、すべて申し分ありません。シャツは着心地がすべてですが、その点も最高ランクです。そして、驚くべきは、4900円均一(税込み5,145円)というその値段設定です。
有名ブランドだと15000円くらいの、充分に良い品質のシャツを作って、会社が潰れてもいいからその3分の1の値段で売ろう、と貞末氏は創業時にそう思ったのだそうです。

まったく宣伝費をかけず、その分のコストを削減しました。そして口コミで人気が広がり、成功しています。鎌倉シャツの成功を見ると、現在の消費動向を「安売り競争」という言葉でとらえるのは正しくないような気がします。激安店が必ず成功しているわけではありません。15000円の価値がある商品を4900円で売ることができるメーカーや小売りが成功しているのです。JMM [Japan Mail Media] No.557 Monday Edition


これは元々僕が持っている感覚であり、最近の『売れるもの』の傾向と思っている。

『value/cost > expectation』

元々、「売れる」、「売れない」としてのものではなく、僕の『ブランド感』指標。だから、100円でも高いと思うものがあれば、その逆も然り。これは今に始まったことではなく、物心ついた時にはこんな思考で考えていた気がする。『value』は必ずしも高級ということもないし、高機能ということもない。さらに最近の価値観の中では『design』が重要なポジションを占めていて、『design』が『value』を決定づけている、といっても過言ではない気がする。ここでいう『design』は「奇抜」とか、「他とは違う」ということでもなく、目的や利用シーンをしっかりと検討された上で設計されている、ということを意味している。
身近な例でいえば、『ユニクロ』。ユニクロは一般的なアパレル製品に比べたら安価ではあるが、単純に安価であるだけではなく、品質もそれぞれのラインに期待する以上のものを提供している。僕は仕事で利用するシャツや週末の普段使いの商品をよく購入しているが、それぞれ課題になる点を考慮している。シャツは型くずれしにくく、カジュアル製品はあまり気にせず洗濯機で洗えるような作りになっている。多分、多くの人が価格から期待するもの以上の商品になっているから、またユニクロに足を運び、新しい商品を購入しているのだと思う。切り捨てられているものが無いわけではない。『他人と違うもの』といった差別感や『斬新なデザイン』といったユニーク性はそぎ落とされている。この辺は『ZARA』などがカバーしているのかな。
『ブランド』とはそのメーカ、商品、サービスに対する『信用』であり、顧客の期待値よりも高いものが得られれば更に『信用』が高まり、『ブランド感』は増す。もう一つ『ブランド』に大事なのは『継続性』だと思う。長く生き残っているということはそれぞれの時代の変化にも対応できる『芯』があるか、時代の変化を取り込みながら変化し続けているかだろう。「昔と同じ」はいずれ淘汰されていく。常に今を見つめながら変化を恐れない商品やサービスだけが生き残っていく時代なのではないだろうか。