さあ、どうする次なる戦略 『通販/路面店への販路強化 オンワード』

20091029_nikkeinet
Nikkei Net 2009/10/29より

正直、『今更じゃないの・・・』と思ってしまった。学生時代にこの会社のアルバイトをしていたので、他のメーカよりも思い入れはあるんだけど。ちょっと前にアパレル全体を把握しようとして、オンワードとワールドを比較して見ていたので違いは把握している。
売上規模が違うので同じように比較はできないと思い、従業員一人あたりの売上と利益を比較して考えてみた。数値は各Webサイトに財務情報があるので、興味がある人は比較してみて欲しい。ワールドの方が圧倒的に売上も利益も高い(従業員一人あたりでね)。理由は単純で、全国に直営の専門販売店を持つワールドと百貨店依存のオンワードの差が歴然としている。百貨店依存の場合、百貨店そのものの集客力が低下しているため、商品やブランドの力に関係なく、営業接触機会が低下している。一方、専門販売店中心に展開する形であれば自社努力で集客や販売に工夫をすることが可能である。つまりワールドは随分と前からSPA型の戦略を採ってきたわけである。SPA型、つまり製造から販売までの一連の工程に責任を持つ手法は顧客ニーズを直接キャッチアップすることができるため、今のアパレルでは一般的な手法である。百貨店経由で販売する場合、契約上、『買取』と言いながら事実上、『委託』と変わらない流通方式のため、ジャストなタイミングで商品を投入するのは難しい。またバイヤーがイマイチだと、販売にも影響を受け、本来ならば顧客を意識しなければいなけいはずなのに、バイヤーを意識した展開になってしまう。

SPA型の身近な例は『ユニクロ』である。元々、SPA型はGAPが採用した方式だったと思うが・・・。ユニクロが安定して売上を確保できているのは、価格戦略だけではなく、マーケティングがマスでは商圏を考えたチラシ戦略を中心にしている点だろう。つまり、商品とマーケティングがちゃんとフィットしているからである。
今回、オンワードが新しい戦略でアプローチするにはマーケティング戦略もこれまでとは違う方法を採用すべきなのだが、そこまで考えているかはちょっと疑問。百貨店という販売チャネルだけではなく、雑誌というメディアも訴求力を失い、アパレル通販のカタログとの境目も怪しくなったきたこのご時世にどのようなアプローチをするのか注目したい。古典的なアプローチではあるが、ネットとリアル店舗を相互に活用した戦略を本気でできるのであればチャンスはあるのではないだろうか。もし組織が別れていれば、これは実現が難しいだろう。