最近よく見かける『サプリメント』の広告

最近、新聞の下段の広告を見ると『ツアー』と『サプリメント』で埋め尽くされている感がある。特に週末や夕刊ではかなり顕著にその傾向が出ている。確かに若い層の新聞離れが進んでいて、『中・高年向けのメディア』という考え方に立てば納得感もあるけど。中でも、食品メーカの『サプリメント』通販は軒並み参入している感じである。『サントリー』、『味の素』、『カルピス』、『ハウス』、『明治製菓』と有名どころは、まるで『右へならえ』のように通販を始めている。食品に限らず、日本のメーカは製造に特化し、流通、小売とそれぞれ専業の会社を通じて消費者に届くビジネスモデルで通してきたが、流通や小売とのバランス、新しい売上の領域拡大を目的に通販ビジネスに参入していると思われる。
サプリメント』の通販は今に始まったわけではなく、専業メーカや化粧品メーカ、あるいはMLMの商材として古くから提供されている。元々は市場規模もそれほど大きくは無かったこと、新しい流通網を構築するにも莫大な投資コストが掛かることから多くの市場参入者が現れなかったのだろう。ところがインターネットの普及、特にケータイの普及、決済方法の充実、配送網の整備などインフラが整ったおかげで、本業以外をアウトソースしてビジネスを立ち上げられるようになった。また専業メーカや化粧品メーカに比べて、会社名の認知度、「食品メーカ」という安心感から少ないマーケティングコストでスタートできるメリットがあるのかも知れない。
一方では、これまでダイレクトマーケティングをしてこなかったために顧客獲得、管理、育成のノウハウはほとんど存在していないため、ここは模索中の会社が多いのではないだろうか。実際にどの会社も商品ラインナップは限られていて、同じ商品をリピートするケースはあっても、アップセルやクロスセルに結びつけられるような感じにはなっていない。広告戦略も『新規獲得』にフォーカスされている。つまり、今は『獲得』という目的でそれぞれの会社が主戦場で戦っているが、ユーザ目線で見るとあまり長続きしないと思われる。きっと、アグリゲーションしてサービスする会社が登場するのではないだろうか。
これまで食品メーカがTV CMなどで費やしてきた広告費用に比べれば通販の広告費はそれほど大きくはないと思うが、その後の戦略が見えない中でどこまで進んでいくのか、とちょっと醒めた目でみてしまう。