『粋』を考える 「大人の流儀」 川北義則

大人の流儀

大人の流儀

まだ読み終わっていないけど、備忘録として先に書いてしまおう。この本はタイトルもそうだけど、どちらかというと装丁が気に入って手に取った。かつては『装丁』で購買に違いなんてあるのか、と思っていたが、実際に自分自身が何に反応するかを意識しながら過ごすようになると本の『装丁』は重要なポジションだということが分かる。今の時点で、全体の半分ぐらいなんだけど、この本、かなり気に入っています。特に『まえがき』は非常に気に入ったので、ちょっと記載。

まえがき
「流儀」とは、その人独特のやり方である。
広い解釈では、たとえば茶道や華道の流派や、地方によるしきたりもある。だが、本書でいいたいのは、その人ならではの生き方をもっているか?という問いである。
日常茶飯事でも、なあなあでことを進めたり、付和雷同のような生き方をしないで、他人が何といおうと自分は絶対にそんなことをしない、という信条をつねに持っていてほしいものだ。
(中略)
自分のなかにルールをきちんと持っているのも、自分の流儀なのだ。
十代、二十代の若いときならいざ知らず、大人になったら、「いい大人」であるべき流儀を持っていてほしい。
私は個性的な人間が好きだが、といって、それは自己主張の強い人間ではない。自己顕示欲が旺盛な人間は、ときとして会話の途中でも話の腰を折る。「俺が、俺が」が、どうしても前面に出てくるからだ。
そんな人間に欠けているのは、「奥ゆかしさ」なのだ。
(中略)
奥ゆかしさを持った人間は、とにかく聞き上手なのである。それが初対面だろうと、旧知の仲であろうと、相手に敬意をもって向き合う。そんな人間の会話術は「聞くが六割、話すが三割、沈黙が一割」の配分である。沈黙の一割は考える時間であり、相手を慮る心のゆとりである。

中は『スタイル 思考』、『スタンス 仕事』、『ルール 社会』、『リズム 生活』、『モラル 品性』、『スタンダード 気概』の6章から成り立つ。どれもいろいろなイメージが頭の中に浮かんでくる。忙しない電車の中や就寝前のベッドの中ではなく、コーヒーを淹れてゆっくりと読みたい一冊である。