プロジェクトを効率的にするための『共通言語化』

近頃、何でも『xxx化』というように表現されることが多い。その波に乗るわけではないが、今日は『共通言語化』ということを考えてみたい。
仕事全般を眺めて見ると、自分一人で完結する仕事というのはほとんど無く、規模の大小はあるものの、複数に人たち、あるいは複数の会社や部署の人たちと関わり合って一つの仕事になっている。つまり、どんな仕事も『プロジェクト』ベースの仕事と言える。ということは、個人の仕事の効率を上げる努力だけをいくらしても決して効率的な仕事をすることはできない。きっと『xxxハック』と言われる本をたくさん読んでチャレンジしてみても、なかなか思うように仕事の効率化が図れない人たちが多いのではないだろうか。実際に僕自身もその一人なので、気持ちはよく分かる。
プロジェクトベースの仕事を効率的にするために、『情報共有の仕組み』を考え、スケジュール管理のために共有の『タスクスケジュール』などを用意し、できる限り会議の回数を減らして効率的にプロジェクトを推進するように努力しても、結果的に反対の現実に直面することが多い。その理由を考えてみると、意外と初歩的なことながらプロジェクトメンバーがそれぞれ考えている『ある事柄』の意味が微妙に違っていて、その『確認作業』と『調整』に多くの時間を割く結果に陥る。分かりやすい例で言えば、プロジェクトの中で『売上』と表現しているものを『税込の売上』なのか『税抜きの売上』を定義しないで進めていたために、途中の処理が担当者によって違ってくる、なんてことはよくある現象である。この『売上』のような単純なケースであれば、手戻りや修正も難しくはないが、それでも余計な仕事が増えることには変わりない。
もっと厄介なのは、同じ言葉でも業界によって違った意味を持つ言葉もある。よく知られている例として『デフォルト』という言葉ある。金融業界では『債務不履行』を意味し、IT業界では『初期設定値』を意味する。そのため、金融系のシステムに関連する話をする際にはこの『デフォルト』という言葉を使って会話せずに、「債務不履行に関して・・・・」、あるいは「このフィールドの初期設定値はxxxにしましょう」と表現した方が良い。またIT系の中でも『初期設定値』を『初期値』と表現することで統一し、『標準値』や『デフォルト値』とは言わない、とルール決めしておくことが全体の効率化に繋がる。これが『共通言語化』である。なんだ、そんなことか・・・・と思われる方々も多いかも知れないが、こういう細かい部分を精緻に定義して共通化しておくことは多くの人が絡むプロジェクトでは非常に重要である。特にコミュニケーション量の少ないプロジェクトの初期段階や新しいメンバーでのプロジェクトの場合には効果が期待できる。手法やツールを考える前に試してみては如何でしょうか。