似て非なるもの 『Twitter』と『brightkite』

ちょっと前のブログで『brightkiteの魅力』を書いたけど、もうちょっと突っ込んで話してみたい。
これは感覚だけれども、ワールド・ビジネス・サテライトでTwitter特集をしてからTwitterユーザが急激に伸びている感じがする。それはフォローのメールをもらった時にその人のpostしている内容を見たり、書いているブログをチェックしたりすると思うけど「ほぼ何も無い状態」の人が非常に増えてきている。それだけTwitterはユーザにとって敷居が低いということが言えるだろう。もう一つ重要な点は、マスメディアの力が弱くなってきている、と言われているが、事実、広告はそうかも知れないが、ニュースはまだまだ影響力が強いと言える、ということは忘れてはいけない。
一方、『brightkite』はTwitterほど爆発的に広がるとは考えにくい。提供しているサービスの内容としてはbrightkiteの方が上をいっている気がするけど、実はTwitterとbrightkiteは似て非なるサービスなのである。
分かりやすい例で言えば、『iPhone』と『iPod Touch』は筐体も含めて似ているが(実際、会社でもiPhoneiPod Touchとどちらが良いか、とよく聞かれる)、実はまるで違うものである。iPhoneは3G回線が繋がる範囲であれば「いつでも、どこでも繋がる」ことが最大のポイントで、AppleらしいUI、アプリケーションの追加、音楽プレイヤー、GPSなどが統合されていることに価値があるのではない。「いつでも、どこでも繋がる」というフレームワークの上に、上記のような機能があって、魅力を増大させているのである。同じようにTwitterとbrightkiteは同じように見えるが、決定的な違いは利用者の匿名性をどこまで担保するかという点に違いがある。Twitterの場合にはフォロワー数を気にしなければかなり匿名で利用し続けることが可能であるが、brightkiteの場合には位置情報と写真、テキストの組み合わせが基本になるため、本名を名乗らなくてもどのような場所で、どのような行動をとっているかはっきりしてしまう。そのため、Twitterはユーザ間の「ゆるいコミュニケーション」ツールの他に企業のサポート部門ツールにもなりやすい。また企業の情報発信のメディアとしても存在し得る。一方、brightkiteはユーザ間のコミュニケーションの量と質の両方をスムースにする工夫がされているため、ユーザ間のコミュニケーションは存在しても、企業とユーザ間のコミュニケーションには不向きである。
違う視点で見てみると、これは僕が心配する話ではないが、Twitterは広告をベースとしたビジネスモデルとエンタープライズ向けのビジネスで収益を上げることは可能であるが、brightkiteはユーザに課金するモデルでないとビジネスモデルとしては存在できない気がする。brightkiteがどれぐらいの課金ユーザを確保すればビジネスが成り立つか分からないが、それほど大きな数字でなければ(=マジョリティ層まで含むような数でなければ)ビジネスベースに乗る気がする。
実はこの課金モデルはこれまでの(マス)メディアがダイレクトマーケティングにシフトして、課金ビジネスが成り立つかどうかを判断する試金石になると思っている。そういう意味でも『brightkite』は注目のサービスなのである。