ベネッセの凄さとユニーク性

ululunさんのリクエストにお応えしてベネッセのユニーク性をまとめてみたい。
ベネッセは進研ゼミなど教育事業をコアビジネスとした顧客基盤を持つダイレクトマーケティングの会社である。僕自身も中学校の前半ぐらいは進研ゼミを利用していた。まあその頃の会社名はベネッセではなく、福武書店だったけど。現在では小学校以前は『こどもちゃれんじ』、小学校からは『進研ゼミxxx講座』という形で高校卒業までの広範囲をカバーする。『こどもちゃれんじ』は「しまじろう」という強力なキャラクターを持っているので子供だけではなく、お母さんも含めてファンが多い。小学校からは昔ながらの添削を中心としたゼミなのだが、年齢による分け方だけではなく、現在ではかなりバリエーションが豊富である。私立学校が中高一貫教育にシフトしているのに合わせて、中高一貫向け講座を用意し、英語に特化したコースを設けたりと対応も非常に柔軟である。また進研ゼミのようなビジネスモデルだけではなく、教室形式の「ベルリッツ」や「東京個別指導学院」なども揃えていて、水平方向、垂直方向どれもカバーするビジネスを展開している。
実はベネッセのビジネスのユニーク性はバリエーション豊富な教育メニューだけではない。彼らのビジネスはそのほとんどが『継続』の上に成り立っていることが大きい。通常のダイレクトマーケティングのビジネスの場合(通販をイメージするといいと思う)、単品購入の繰り返しでの継続のため、KPIとしては『Frequency』で計られる。が、ベネッセの場合には毎月双方向でイベントが発生するビジネスが基本になっている。そのため、コミュニケーション量は通常の通販会社とは比べものにならないくらいあるため、ロイヤリティを高めることができ、離脱率も低い(と思われる)。この継続商品によるビジネスが基盤になっているメリットは想像以上に大きい。簡単に想像できるポイントとして、

  1. Acquisitionコストを大きく取ることができる
  2. クロスセル/アップセルの機会が多い
  3. 離脱率が低ければ、非常に利益率の高いビジネスになる

挙げればきりがないが、つまり顧客として獲得した後は自分たちの土俵でビジネスをしやすいということが言える。実は多くのダイレクトマーケティングの会社を見ても、これほど『継続』商品でビジネスが成り立っている会社は少ない。最近では健康食品の一部の商品を継続購入者にシフトさせるような施策を実施しているものの、それでも全体から見れば本当に一部でしかない。新聞は新聞社が顧客を把握しているわけではなく、ケータイ会社やISPなどは月額課金を採用しているが顧客の成長に合わせたラインナップがほぼ『継続』商品というわけではない。
実はベネッセのユニーク性はこれだけはなく、この辺はまだ序の口である。続きは次回に。