次なるレコメンドアプローチのシーズ

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今更ながら『last.fm』に興味を持った。ソーシャルメディアとしてどうのこうのいうつもりはなく、情報収集とその利用方法という観点で面白い可能性がありそう。仕事柄、レコメンデーションのあり方というのは大きな関心事の一つで、単純な協調フィルタリングは期待するほどコンバージョンに繋がらないと思っている。実際、僕はamazonでレコメンドされた商品を購入したことがないし、amazonのレコメンドの根本的な部分に大きな問題があると思っている。例えば、かつて沢木耕太郎の「深夜特急」の2巻以降、塩野七生の「ローマ人の物語」の「3」以降をまとめて買ったことがあり、それ以来、「深夜特急」の1巻や「ローマ人の物語」の「1」、「2」をレコメンドされる。普通に考えれば、購入したシリーズの前の巻は持っている、と認識するのは当たり前のはずなのに、現実はそうではない。また似たような商品をレコメンドされることでも不思議に思うことがある。iPhoneのケースを購入したのに、引き続きケースをレコメンドされたり、とリアルな世界の店員だったらありえないことを普通にするのである。
last.fmの感心したアプローチは、iTunesやMedia Playerにプラグインを入れさせ、ローカルで再生した曲を自動でサイトに情報が送られること、それとソーシャルメディアのファンクションを持っていること。僕のiTunesには約6500曲が登録されているけど、実際に聴く曲は限られているし、ヘビーローテーションの曲はそのまた一部である。それを自動postすることでその人の趣向の一部がキャッチできるわけである。一部と書いたのは、必ずしもiTunesで再生しているとは限らないし、iTunesで聴いてもいい曲と車やオーディオシステムで聴きたい曲は違うためである。
実際にレコメンドに有効なポイントは、

  1. 誰が推奨したのか
  2. レコメンドする時期はいつなのか(シーズン)
  3. レコメンドするのは楽曲なのか、アーティストなのか
  4. レコメンドの目的は何なのか

が明確でなければ、どのようなデータをどのようなアルゴリズムで処理するのか曖昧になる。ちなみに僕のlast.fmのレコメンドはこんな感じ。
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はっきり言って、ダメです。ただし、従来のECサイトに於けるサイト内のクリック情報や購買情報からレコメンドするのではなく、多くの人から汎用的なデータを収集してレコメンドデータにするアプローチは他の分野でも主流になっていくことだと思う。でも、重要なのは収集方法ではなく、どう利用していくか、ということ。目的と手段を一緒にしてしまうとろくなことがない。暫くは自分自身が実験台になって、チェックしてみるつもりである。