マクドナルドの強みを考えてみた

何度かこのブログでも触れているマクドナルドの戦略に関してちょっと考えてみた。社長の原田さんの本は何冊か読んでおり、一貫して「大事なのは来客数」と筋が通っている。あれだけの規模(売上5000億)の会社運営を考えると、指標が売上、利益あるいは利益率にいきがちであるが(マネージメントレベルはそうだと思うが)、サービス企業であり、各店舗のスタッフ全員に理解しやすい指標として「来客数」はシンプルだが力強いメッセージだと思う。では、メッセージと実態はどう繋がっているのか、を考えてみたい。

「プレミアムローストコーヒー」(Sサイズ)の1杯無料提供キャンペーン

7月に実施され、多くのメディアでニュースになったキャンペーンで、本当にコーヒーをもらうだけが可能。つまり何か条件があって、条件を満たした場合に無料券をもらえる形ではなく、マックに行って「プレミアムコーヒーをください」と言えば、無料でもらえる、というシロモノ。結果はどうだったか分からないが、仮説として考えられるのはマクドナルドの朝メニューあるいはプレミアムコーヒーを体験してもらい、そのうちの一部の方でも固定客に繋がれば・・・という戦略と予想される。実際、今のマクドナルドコーヒーはなかなか美味しいコーヒーだと思う。

かざすクーポン

以前にブログでも書いたかざすクーポンであるが、普段利用する東京中心の店舗ではほぼすべてのお店で使えるようになっている。毎週金曜日から新しいクーポンになるサイクルで実施され、固定ユーザはまずはクーポンをチェックしてから・・・というのが馴染んできている感がある。並行して見せるクーポンも展開しているが、実は見せるクーポンとかざすクーポンは意味が違う。そこまで利用しているかどうかは分からないが、かざすクーポンの場合には利用した端末の固有IDが記録されるので、来店頻度のサンプル値が得られるようになる。原田さんの売上方程式は「来客数」x「来店頻度」なので、この辺がちゃんとキャッチアップできるようになって、その指標がチェックできるようであればキャンペーンの効果測定も正確に出来そうである。ちなみに提供されるクーポンの価格は固定ではなく、時期によってディスカウント額が大きい場合と小さい場合がある。また見せるクーポンとかざすクーポンの価格は同一である。
僕は比較的マクドナルドに行く頻度は高い方がだと思うが(2回弱/週)、最近見かけるシーンとして、店舗に入ってからケータイでクーポンをチェックし、クーポンを中心にオーダーする姿を見かける。売上、あるいは利益という部分ではクーポンを利用することで下がってしまう形だが、既に店舗に顧客を送客できている時点で「来客数」向けプロモーションとしては成功していると言えるだろう。

マックでDS

第一弾は「ポケモン」、第二弾は「ドラクエ」という旬のキャラクターを利用した新しいプロモーション。上記のクーポンのような価格コントロールや多くの小売業で実施されてるポイント制ではない形で来客数を増やす方法を試みている。ポケモンの時の最初の週末にとある店舗に行ってみたが、とにかく子供たちが凄いことになっていた。小学生ぐらいの子供たちではなく、幼稚園後半ぐらいであれば親と一緒に来店するので、来客数アップという目的は達成されそうである。またドラクエは意外と大人の送客に効果があるのではないか、と想像している。
上に上げたいくつかのキャンペーンはほんの一部に過ぎないが、原田さんのメッセージである「来客数」というものに沿ったもので、それぞれ効果が計れそうなキャンペーンである。マクドナルドの強さとして、メディアはいろいろな商品や価格戦略をよく挙げているが、実はトップから現場まで同じ指標で行動できる組織力が最大の強みだと考えている。