Makers Mark


Originally uploaded by romanlily

数年ぶりに友人の竹内さんと会って話した中で「Makers Mark」の話が出た。今日はちょっとお酒の話をしましょう。僕は今でこそシングルモルトが好きなタイプですが、36歳の誕生日の直前までは完全にバーボン派でした。20歳の時には無理してバーボンを飲んでいた気がする。原因は中学・高校時代に読み尽くした片岡義男の小説のせいかな。当時、角川文庫で赤い背表紙の小説やエッセイが50冊ぐらいあったと思うんだけど、恐らくそのほとんどは読み尽くしたと思っている。片岡氏の小説に出てくる男たちはドライマティーニなり、バーボンのロックなりを飲みながら大人っぽい会話を楽しむ。当時はそんな妄想に憧れて、全く美味しいと思わなくてもマティーニやバーボンを飲んでいた。どちらも初心者には決して飲みやすい部類のお酒ではなく、特にバーボンは独特の香り(最初はニオイと感じるかも)と味で、慣れるまでは時間が必要である。そんな中で、IW・ハーパーは飲みやすいバーボンで、ハーパーでバーボンに慣れたと言っても過言ではない。社会人になってから、このMakers Markに出会って、僕の中では「バーボン=Makes Mark」という式が出来上がってしまった。これが飽きずに、36歳になる前まではMakes Mark一辺倒だった。特に赤キャップ。上品さは似合わない。雑で、骨太の主張があるのがバーボンで、だからこそMakers Mark。洒落たグラスよりも、ちょっと厚手のグラスに氷を入れ、目分量で出してくれるのが一番。
Makers Markは美味しいお酒だけど、いつも同じ味じゃない。これはバーボンやMakers Markに限った話ではなく、シチュエーションや作り方で全く別の味になる。だから面白いんだけど。つまり、毎回ショートストーリーがあるはずである。もしかしたら、一生を決めるかも知れない出来事の片隅にMakers Markがあったかも知れないし、失恋後の気持ちをなだめる友人としてそこに存在していたかも知れない。中身は一緒でも毎回表情を変える。だからエピソードは数限りなくあるはず。
竹内さん、ね、いくらでもストーリーは生まれるでしょう。36歳からの話はまた今度ということで。