結局、マーケティングってなに?

最近はマーケティングの話が多い気がするけど、ふと就職活動時のことを思い出したので備忘録として書いておきます。僕が学生だった頃は今のように「マーケティング」という言葉があまり一般用語ではなく一部の人たちの言葉で、一般的には「企画」という言葉で代替されていた。時代はバブル絶頂の頃で、それこそ映画「バブルへGO!」のような感じの頃である。映画では若干デフォルメされている感があるが、それでも金曜日の夜にタクシーを捕まえるのは大変なことで、タクシー捕獲率の高い場所を知っていることが偉い、という雰囲気があった。
さて、そんな時代の就職活動は完全に売り手市場で、内定をいくつもらったからを競うよう感じだった。そう、映画でいえば「就職戦線異状なし」はまさしくその時代を表現している(あれ、どっちもホイチョイだっけ?)。そんな時代だったので、僕はジャン=ポール・ゴルティエのスーツを敢えてリクルートスーツとして使っていた。時には「君はアパレルに行った方がいいんじゃないのかい?」と嫌みを言われたこともあった。当時は見た目で判断するような会社には行きたくない、と本気で思っていて、お堅い会社はまず受け入れられなかった。
Ashtray
Photo by i_yudai
そんな中、最初に就職した会社の面接では、筆記試験の最中に順番に面接する方式で、僕も試験の途中で呼ばれて面接をした。面接の相手は当時の人事部長で、後に社長になった人である。簡単な自己紹介の後、「君はこの会社に入って何がしたいの?」と聞かれ、「企画の仕事がしたい」と告げた。相手は「企画の仕事ってかっこいいよね〜。で、企画の仕事って何するの?」と突っ込み。彼は写真のような灰皿を使ってタバコを吸っていたので、「そこにある灰皿を灰皿として売るのが営業の仕事だと思います。でも、裏返しにすることで違うことに利用できるのであれば、そういう使い方を訴求するのが企画の仕事だと思います。そうすれば、市場に広がり、同じ努力で売上はアップしますよね。」と答えた。こんなやり取りがきっかけになって入社することになった。今考えると、「良いものを作れば売れる」という職人気質な発想で、「誰に」、「どのような形で」、「どうメッセージを伝えるか」を考えて行動しないとうまくいかないことを経験した。並行して、比較的営業が強い会社では営業が伝えられるレベルにメッセージを単純化しないと空回りすることも経験。それからお客さんが望んでいることを盛り込んでも必ずしも売れるとは限らないということもある。そう考えると売上の多寡で会社を判断するよりも、創業からながく続いているかどうかの方が重要なポイントかも知れない。歴史のある会社のマーケティングにヒントがあるかも知れない。