「賢者はベンチで思索する」 近藤史恵
- 作者: 近藤史恵
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/05/26
- メディア: 単行本
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この作品はいろいろなテーマが並行して流れながら構成されている。例えば、主人公の久里子は目標もないままフリーターのような生活をしていて、その弟は引きこもり浪人生、その兄弟の関係や家族関係の変化をいろいろな出来事によって変化していく様子を描いている。偽国枝老人と本当に国枝老人との間に交わされた約束は年老いた人間のある希望の一つのような気がする。あるポイントで見ると、久里子がバイトするファミリーレストランを店側と客側から表現するとこのストーリーのようになるんだろう。こういう多次元的な視点でストーリーを展開させるような構成は本当にうまい。今後の作品も非常に楽しみ!