「リインカーネイション 恋愛輪廻」 樹林伸

リインカーネイション 恋愛輪廻

リインカーネイション 恋愛輪廻

随分と前から読んでみようと思いつつ先延ばしにしていた。樹林伸はいろいろなペンネームを持つ作家で、「金田一少年の事件簿」や最近では「神の雫」の原作者でもある。彼の生み出すものに興味を持ったきっかけは「金田一少年の事件簿」である。マンガではなく、TV版の松本潤が金田一を演じたシリーズが好き。俳優陣の演技よりもストーリー展開の方が興味が高く、それで気になるようになった。一方、幻冬舎の雑誌「Papyrus」には「ビット・トレーダー」が連載されており、掲載される号は楽しみにしていた記憶がある。
本書のタイトルだけを見るとユーミンのアルバムを思い出す。25年以上前にリリースされたアルバムだが、タイトルだけではなく曲そのものも不思議な世界観があった。今でも偶に聴いたりする。話を本書に戻すと、4つの短編が収められていて、それぞれに関係性や関連性はない。本書のタイトルイメージのような作品に仕上がっているだけである。僕の中では4つめの「巡り逢ったことは、偶然じゃなかった」が気に入っている。話の中心が長崎であり、浦上天主堂大浦天主堂、グラバー邸などはロケーションを含めて記憶されているので、ストーリー以上にイメージが広がっている。意外とこの短編がプロットで、ドラマや映画に発展しても面白いかも知れない。映画の短編連作で、主人公の現在、未来、そしてトラウマと描かれている過去を敢えて短編として切った形のストーリーを重ねて、共通のメッセージにするアプローチも面白い気がする。
そんな話はないですかね・・・。