「魔女の笑窪」 大沢在昌

魔女の笑窪 (文春文庫)

魔女の笑窪 (文春文庫)

過去の単行本にて読んだことがあるので、久しぶりのご対面、という感じで読んだ。現在、続編の「魔女の盟約」が出ているのでシリーズとしては展開されるのだろう。大沢在昌と言えば、「新宿鮫」の印象が強いがこのシリーズも捨てがたい。地獄をくぐり抜けてきたお陰で身についた見ただけで男の中身を透視できる能力を持ち、闇のコンサルタントして財をなした水原。選択肢として「消す」ことも厭わない。自身の過去に引き戻されるぐらいならば、それぐらい些細なこと。そんな彼女を取り巻く世界が繰り広げられる。
個人的には柴田よしきの「RIKO」と対面させたい。叶わぬ夢だけど、読み手の中ではいつでも想像ができ、表と裏、最強のコンビになるはずだ。
連作短編を通して徐々に水原の過去が紐解かれていく仕掛けになっているので、読み手はついつい時間を忘れて最後のページを閉じることになる。外が明るい中で読むよりは、夜に時間を忘れて読むことをお勧めする。