「ハンバーガーの教訓」 原田泳幸

かつては『「Mac」から「マック」へ』と揶揄された原田さんの著書。日本マクドナルドを設立し、大きくしたのは創業者である藤田田さんだが、今のマクドナルドにして成長路線にしたのは間違いなく、原田さんである。ここのところ、外食産業ではマクドナルドの一人勝ちと言われ、マスコミでも大きく取り上げられているが本書ではそれを支えてきた小さな積み上げが非常によく分かる。何か特別の秘策があって、それで今日の業績が出来上がった訳ではない。過去に於いて、マクドナルドのマニュアル接客が良い意味でも悪い意味でも外食産業、特にファーストフード店の特徴として上げられ、多くの人の意識の中でそう思っていることだと思う。僕自身もマクドナルドの接客はマニュアルの恩恵だと思っていた。しかし、他のファーストフード店と比較してもマクドナルドの接客は抜きん出ている。スピード、接客の質の安定性、どこの店でも安定したサービスを受けられる安心感はマニュアルだけでできるものではないと思う。かつての吉野家もそれに近いところがあったが、現在のサービスはかつての基準で考えると非常に低下しているように感じる。
いろいろな人に「なぜ、マクドナルドに行くのか」と聞くと、あまりポジティブな回答は得られない。「味を期待しているわけではない」、「値段が安いから」、「いろいろなところにあるから」などが多く、同業の中で「味」を軸に聞くと、モスバーガーフレッシュネスバーガーと答える人が多い。でも、価格やスピード、いろいろなところで手に入る、といった安定感はモスやフレッシュネスにはない。確かマクドナルドの年間来客数は10億人を超える数だったと思う。つまり国民1人あたり約10回/年行っている計算である。ちなみに僕の場合は平均2回/週ぐらいかな。
この本はマクドナルドの話という狭義の話題ではなく、非常に多くの「気づき」を与えてくれる。今回は30ピトぐらいです(分かる人には分かるよね)。