「プロ力-仕事の肖像」 AERA編集部

プロ力 仕事の肖像

プロ力 仕事の肖像

本書の出てくる女性たちはたくましい。東京ガールズコレクションの永谷亜矢子しかり、女優の山口智子しかり。
かつて「CM女王」と呼ばれた山口智子はそれまでの栄光を捨てて自分の目指すことに情熱の軸を移した。彼女にとって「栄光」なんて意味がなかったのかも知れない。その行動力は見習うべきであり、その後の付き合いを見ると彼女の人柄そのものを表現している。
熊川哲也は本当に天才なんだろう。感じたものを短時間で表現できる、本人は練習嫌いにも関わらず実現できる。きっとどこかで何らかの努力はしているのだろうが、それを表に見せない。プロにとって、努力には意味がなく、価値は表現そのものにしかないことを人一倍理解しているのだろう。
AERA編集部による人選なので、朝日新聞らしいテーマも含まれているがそれを差し引いても楽しめる一冊である。常に目線を普段の主人公たちに揃え、決して持ち上げすぎずに描かれている。最初のページから順を追って読む必要もなく、好きなテーマのエピソードから好きなものだけ楽しめる。通勤の電車の中や就寝前ではなく、休みの日の昼間に贅沢な読書の時間に読んで欲しい。