「僕の散財日記」 松任谷正隆

僕の散財日記 (文春文庫)

僕の散財日記 (文春文庫)

お気に入りの作家以外の本をチョイスする時の基準はなんだろうか。僕の場合、結構、帯のコピーで買ってみることがある。今回の作品もそうだ。とはいえ、今回はコピーの良し悪しではなく、解説を小山薫堂が書いているところがポイントだった。話がそれるが、これからは「誰が」勧めているのかがより購買に影響を及ぼすようになるだろう。つまりAさんが推薦するよりも、Bさんが推薦した方がより売れる、といったように。TVやCMのキャラクターがより重要度を増すかも知れない。
話を戻そう。著者はミュージシャンであり、自動車ジャーナリスト(?)であり、ユーミンのパートナーでもある。そう、家に帰ればユーミンがいるのである。僕の中ではカーグラTVのレギュラーのイメージが一番強いんだけど。その彼が雑誌に連載していたエッセイをまとめた作品なんだけど、40代以上で過去にスノッブなモノに興味を持った経験がある人には何とも楽しく読める。カメラネタで考えると多くはニコンの話が多い中、彼はペンタックスに傾倒している。この違いは分かる人にしか感じないと思うが、それが分かる人には本当に面白く感じるだろう。万年筆も然り。僕も初めて買った万年筆は「プラチナ」だった。キャップを外して書き始める姿をもう一人の自分が見ていてちょっと大人びた気分になったものだ。
このエッセイを書くリズムというか雰囲気が河野さんの文章に似ている、と感じたのは僕だけかな。