「カフーを待ちわびて」 原田マハ

カフーを待ちわびて (宝島社文庫)

カフーを待ちわびて (宝島社文庫)

前に「おいしい水」を読んだ時に感じたのと同じで面白いと思う人とそうでない人が分かれる。それが原田マハの良さかも知れない。大衆を当てにいっていない、好きな人だけどうぞ、という距離感が好き。
沖縄の離島を舞台したラブストーリーで、映画もあるけど自分で映像にするならどんなイメージかな。「幸」のイメージはマイコじゃない。見た目はもっとポワーンとした感じで、芯がしっかりしている。まあ映像は個々人の心の中で楽しめば良いので。
島を離れずに地味な人生を過ごしている明青に見知らぬ女性 幸からの手紙で物語は始まる。主たる産業もなく、人口の減少も止まらない離島に一大リゾート開発の話が同級生を通じて持ち込まれる。リゾート開発に反対する明青はそのプロジェクトを推進する同級生 俊一への思い(俊一は学校時代から成績も優秀、女の子にももてた)よりも、いつか帰ってくると信じている母を待つために受け継いだ雑貨店の店番をしながら生活している。そこに迷い込んだのが幸からの手紙だ。絵馬に書かれた「嫁に来ないか。幸せにします。」の言葉に対する手紙である。あり得ない話だけど、ラブストーリーならありでしょう。
この小説は最後の「カフーが待ってる」というところ。答えを知りたい人は読んでみて。