「残業ゼロ」の仕事力 吉越浩一郎
- 作者: 吉越浩一郎
- 出版社/メーカー: 日本能率協会マネジメントセンター
- 発売日: 2007/12/22
- メディア: 単行本
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まず吉越さんの基本的なスタンスを理解する必要がある。
仕事、そして人生を楽しむ
この言葉だけだと理解しにくいが、仕事をゲームとして捉え、ゲームなのだから「勝つ」シナリオを進める、「のめり込みすぎない」という。仕事(あるいは会社と読み替えて良いと思うが)とは自己実現や夢などではない、というスタンスである。
活気がないのが「いいオフィス」
普通に考えると疑問を持たれそうな言葉であるが、活気がある社内は生産効率が低いという。ここは非常に納得。仕事で求められるのは「アウトプット」であり、「明るさ」ではない。このアウトプットの効率を上げるための一つが「がんばるタイム」。
「世の中で最も合理的で無駄のない組織といえば、それは軍隊ではないでしょうか。」
この本の中で一番印象的な一文である。別の吉越さんは軍国主義者でもない。ただ「勝つための組織」を考えると軍隊は非常に効率が良く、極限状態の中では「理念」なんてものは必要ない、と言われる。ここの吉越さんのリーダーシップ像が見える。規模の大小ではなく、自分を中心としたヒエラルキーで「会社のためになることはなにか」の基準だけで判断をしていく。途中間違いに気付けば、即修正していく。
多くの仕事術的な本はとかく個人に限った手法に陥りがちであるが、本書はチームや組織を強力にしていく上で、個人の能力をどう高めていくか、という点が大きく違う。また手法というよりも、考え方とそのバックグランドを明確にしている点が素晴らしい。新年最初の本としては間違いなく「当たり」だった。