「サンドブレーク」 司城志朗

破線のマリス」のようなTV局を舞台にした作品。また一週間というタイムスケールの中でいろいろな出来事が走馬燈のように過ぎていくことを考えると小説版「24」のようだとも言える。展開そのものは比較的オーソドックスな展開で、特に奇をてらった感はない。じゃ、つまらないか・・・というとそんなことはなく、最後まで楽しんで読み終えることができ、何とも不思議な魅力を持った作品である。
きっと中身としては十分なできなのだろう。一方で、編集によるバイアス(破線のマリスのように)や警察組織の複雑さなど、何か一つ特徴的な部分を入れつつ、今回のストーリーならばもっと違った印象だったのだろう。まあ、それほどミステリーを読んでいない読者がたまたま手に取って読んでみると「意外に面白いじゃん」という印象を受けるのではないでしょうか。