「青山二郎の話」 宇野千代

青山二郎の話 (中公文庫)

青山二郎の話 (中公文庫)

僕の中では「青山二郎」も「宇野千代」も未知の人。例の「三冊屋」の最終楽章がこの本だった。興味とか面白さという次元とは違う作品で、決して嫌いじゃない感じ。青山二郎の自由人というか既定の枠が無い感覚は今こそ必要なものの一つかも知れない。こういう人を「旦那」というのかな。話の時代としてはそれほど昔のことではないのに、今の麻布や広尾、青山を考えると非常にのんびりとした感じが伝わってきて、今とは全く違う場所のようである。「粋」ってなんだろう、と思ったら、一読の価値あり。白州次郎とは違う「粋」を感じる。