「さがしもの」 角田光代

さがしもの (新潮文庫)

さがしもの (新潮文庫)

なんとも不思議な文章です。ストーリーに引き込まれるだけじゃなく、自分自身の小さい頃を思い出させます。特に「ミツザワ書店」。僕が育ったところには大きな書店はなく、街中にあったT書店が一番大きかった。後は小さな書店がポツポツとあり、何となく特長をもっていてきれいに棲み分けが出来ていた気がする。M屋書店は教科書で、TB書店は定期購読をすると配達してくれたり・・・・。もしかしたら、自分自身の中でフィルターを作っていて目的に応じてそれぞれの書店に足を運んでいたのかも知れない。高校や大学になると地元の街中の書店には行かなくなり、大きな書店のみに足を運ぶようになった。今は街中の商店街もほとんど店をやっていないのでそれらの書店は運営されているかのどうか分からない。
今の生活の中では、地元の書店も都心の大型書店もネット書店もそれぞれ足を運んだり、見たり、購入したりする。どちらかと言えば、ネットよりも実際の書店の方が好き。新しい自分に会えたり、新しい世界に巡りあうチャンスがあるから。今年もなんだかんだで200冊ぐらいの本を読んでいるけど、それでも200冊か、と思うと本との出会いも縁を感じる。この物語に出てくる自分で売った本が違う土地で巡り会うなんて素敵ですね。