こういう時代だからこそ

たまにはちょっと仕事の話題を。仕事柄、いろいろなお客様のデータ活用の話題を日々考えることが多い。顧客分析であったり、商品開発に向けたデータ分析であったり、課題はさまざまである。一般的によく利用されているRFM分析もあれば、統計学を使ったデータマイニングまでアプローチも多種多様だ。僕らの仕事の中心はマーケティングなので、集計や分析をした結果、施策に使えなければ意味がない。データソースには顧客属性や実際の取引データ、Web上でのアクセス履歴などを統合して利用するが、結果を読み解くのは非常に難しい。結果を出すことはコンピュータの進化で簡単になってきているものの、その答えを読むことと伝えることが難しい。
例えば顧客セグメント(顧客分類)をした場合、年齢や居住地などはあまり意味がないことが多い。これはマスプロダクションの影響をあまり受けていない世代が増えてきているからと推測される。以前であれば、同世代を括った時に影響を与えたTV番組や音楽、社会事象などを挙げることが出来ただろうが、今は小さい頃からかなり細分化された文化に触れてきているので、世代で括るのは意味がなくなってきているように思う。居住地に関しても同じようなことがいえ、地方でも中心地は東京と変わらない情報が手に入れられ、交通の高速化で東京と地方、という区分ではなくなってきている。つまり、その人個々人の趣向や行動を捉えて、仮説-検証を繰り返す以外に真の答えを導き出すことは難しくなってきているといえる。
実際に僕と同じ歳の人でも、子供の有無や子供の年齢によって関心が高いものは違うだろうし、ライフスタイルも違うはずである。が、会社という組織でデータ分析をした結果を報告する際には裏付けとなる説明が必要で、年齢や居住地などの属性で分けたものでない場合には説明に苦労することが多い。究極は「マイノリティ・レポート」のようなOne to Oneのマーケティングであるが、投資対効果の側面からいくつかのセグメントに分け、セグメントごとのアプローチが現時点では現実感がある手法と思われる。このレベルは既に実現可能な世界であるが、あとは判断を下す立場の人が柔軟な思考でそれらの答えを受け入れられるかにかかっている。景気感が不透明で、広告宣伝費を大幅にカットする流れの中、どうせ投資するなら効果的に投資すべきと思いながら仕事をしていると、上のような社内調整にエネルギーを使う必要があるお客様に会うとちょっと気の毒に思うことがある。