「逝年」 石田衣良

逝年―Call boy〈2〉

逝年―Call boy〈2〉

娼夫のリョウが主人公のストーリーの第二弾。IWGPも好きだが、このシリーズはそれ以上に好きかも。ストーリーに感情の起伏があるとすれば、このストーリーはすごく安定した中にいろいろな思いが含まれていて、それでも心にしみてくる何かがある。御堂静香にその才能を見いだされ、本人も気付かないうちにその才能を開花させ、やがて自信となって、「何が自分にとって幸せか」を意識するようになる。テーマは賛否両論あるだろうが、深く考えると哲学的な意味も感じる。幸せを計るものさしは決して一つではない、という石田衣良のメッセージを感じる。
印象的なシーンを。

美しさはその女性のあらゆる部分にあらわれる。美はフラクタル構造をしていて、細部まで無限に全体の構造を繰り返すのだ。簡単にいうと、きれいな人は髪の毛一本、爪の先まできれいだということ。

妙に納得。