「だたマイヨ・ジョーヌのためでなく」 ランス・アームストロング/訳 安次嶺佳子

単行本を中断してから随分と時間が経ってしまったが、最後まで感動しっぱなし。闘病本、自転車本とかの枠ではなく、どんな人にも必ず本で欲しい、と思うぐらいお勧め。今年読んだ本の中で一番。
中でも一番印象的だったのは以下の文章。ランスの意志の強さ、真っ直ぐさ、そして彼の哲学を表現した一文である。

僕は何を信じているのだろう。僕はあまり祈ったことはない。強く希望したり、強く願ったりしたことはあったけれど、祈りはしなかった。子供のころに、宗教に関しては疑問を抱くようになっていたが、いくつかはっきりとした信念をもっている。簡単に言えば、僕は、自分が良い人間になる責任があると信じているし、勇敢で正直で勤勉で高潔な人間になろうと努力もしてきた。その上、家族にやさしく、友人に誠実なら、そして社会にお返しをし、嘘をついたりだましたり盗んだりしていないなら、それで十分だと思った。もし世の終わりに裁かれるなら、僕が本物の人生を生きてきたかどうかで判断してほしい。ある書物を信じているかどうかや、洗礼を受けているかどうかではなく。もし本当に「神」がいるなら、僕の人生の終わりに、「でもお前はクリスチャンではなかったではないか。だから地獄へ行くのだ」なんていうことは言ってほしくない。もしそう言われたら、僕は答える。「どうぞご勝手に」