「モーニング」 小路幸也

モーニング Mourning

モーニング Mourning

大学時代一緒に過ごした5人が仲間の一人の葬儀に20年以上振りに集まった。大学時代といえば、何をするにも一緒の仲間がいて、「この後に人生も一緒に過ごすことが多いのだろうな」と思いながら実際にはそうでもない、という人が多いのだろう。実際、この作品の登場人物は同じ一軒家で過ごしたにもかかわらず、卒業以来初めて全員が集まったのがこの葬儀なのだから。集まったといっても、その内の一人はもうこの世には存在しなく、未来永劫5人で集まることはないわけである。
その内の一人 淳平のひと言「これから自殺する」から物語が始まる。読み終わってみると、何ともいえない気持ちとそういう葬送もあるか、と納得。大学時代の友人などと会うと今現在の年齢ではなく、その時代の自分に返る気がするが、そんなタイムスリップを味わいたい人にはお勧めの一冊である。