「眠れぬ真珠」 石田衣良

眠れぬ真珠

眠れぬ真珠

特定の年代のキャラクターでしか描けないのではなく、それぞれの年代に各モチーフを照らし合わせ、新しい分野を開拓する石田衣良という作家には敬服する。まさに良い意味での商業作家である。
この「眠れぬ真珠」は45歳の咲世子というキャラクターを中心に据え、初期の更年期障害、大きく年の離れた年下との恋愛、商業美術と商売といったテーマを交えながら展開されていく。読み手は、いつしか「自分だったらこんな判断が下せるだろうか」、「こんな対応を冷静にできるだろうか」と感情移入しながら読むことになるだろう。でも咲世子でも、「できる」ではなく、「(無視してでも)やって」、後の時間で消化しているのであって、人はいくつになっても変わらない、という部分もしっかりと描いている。amazonを見ると、コミックにもなっているんですね。こういうのをTVドラマではなく、映画で見たいですね。