「ひなた」 吉田修一

ひなた (光文社文庫)

ひなた (光文社文庫)

誰にとっても「日常」は「普通」と訳され、特別視されることはない。でも、その日常にも思いや悩み、意志とは反した行動が誰にでもある。そんな日常を上手に描いている。決してTVドラマにはならないような日常でも、同じ時は二度と巡ってくることはない。それぞれが抱える支える秘密も悩みの原因。正解があるわけではなく、正解がないから悩み、日々の日常を積み上げていく。そんな出来事を重くなく、でも「普通」として流さずに捉えて表現されている。何とも不思議な印象を持つ一冊である。