「40 翼ふたたび」 石田衣良

40 翼ふたたび

40 翼ふたたび

4TEEN」では14歳の目線で、この「40 翼ふたたび」では40歳の喜一の目線で日常が書かれている。小説なのでデフォルメはあるものの、悩みどころは多くの人が共感するのではないか。仕事も一段落、というか、主人公の喜一は胸ふくらませて自分でビジネスを始めるものの夢のような仕事はなかなかなく、暮らしていくために気乗りしない仕事を日々こなしていく。人生を積み重ねた分だけ、「澱」のような出来事をこなしていかなければならない。夫婦という面でも、思いはいろいろある中、すれ違いからなかなかうまくコミュニケーションできない。
特別なことではなく、「日常」を40歳の男の視線でうまく表現していると思う。でもそんな日常にも一瞬一瞬の思いはあり、その人にとってはドラマティックだったりするんだよね。