「愛がいない部屋」 石田衣良

愛がいない部屋 (集英社文庫)

愛がいない部屋 (集英社文庫)

石田衣良は空気を描くの本当にうまい。空気感ではなく、空気である。この作品は同じ神楽坂の高層マンションに住む住人の恋愛をショートストーリー集としてまとめている。決して、ハッピーエンドではない。それぞれの事情があり、それぞれの思いがあり、他人は決して理解出来ない部分で悩み、苦しむ。
中でも、「魔法の寝室」と「いばらの城」は特に気に入っている。もう少し子供大きければ、「ホームシアター」に共鳴したかも知れない。完成度は標題の「愛がいない部屋」。読み終わった時、涙を流しました。