「教科書に載った小説」 佐藤雅彦

教科書に載った小説

教科書に載った小説

やっぱり佐藤雅彦は天才である。こういうアンソロジーを考える人はいても、現実化することとは別の次元。最初の「とんかつ」からぐいぐいと話の世界に引っ張られた。家の事情があるにしても、厳しい世界に息子を送り、1年後、宿屋の人が感じるほど息子は成長し、感謝の辞を述べる。「絵本」は電車の中で読んでいて、思わず涙してしまった。「ベンチ」は本当に感慨深い1シーンである。自分だったらどうする・・・・答えにならない。
ふと有島武郎の「一房の葡萄」を思い出してしまった。