「ボーイズ・ビー」 桂望実

ボーイズ・ビー (幻冬舎文庫)

ボーイズ・ビー (幻冬舎文庫)

一昨日の「明日この手を放しても」の名誉挽回ではないが、以前読んで気に入った作品なので改めて紹介。
主人公は小六の隼人と70歳の栄造。靴職人としては一流でも人間としては問題がある栄造が隼人と出会ったことで成長を始める。隼人はもちろん成長するのだが、母を亡くし、それを受け入れることが出来ない弟・直也のための自己犠牲から変わっていく姿は栄造との友情から生まれる。友情という表現がおかしいかも知れないが、お互いにリスペクトすることで生まれた信頼関係がそれぞれを成長させた。赤のアルファに乗っている70歳はやっぱり変わっている(と思う)。
この本は鏡のような効果がある。今の自分がどんな状態かで、受け取り方が違ってくるだろう。少し疲れ気味の方にお勧め。