「吉野家」 茂木信太郎

吉野家

吉野家

今は好きな時に好きなだけ吉野家の牛丼が食べられるが、BSE騒動の折り、頑なにアメリカ産牛肉でないと吉野家の牛丼にならない、と他国産の牛肉を使用しなかった吉野家の真の意味が分かった。確かに味にも影響があるようであるが、一番は吉野家のサービスが提供出来ないことに起因しているようだ。そう吉野家は想像以上に牛丼を提供するファーストフード店ではなく、優れたサービスを提供するサービス会社なのである。昔から「うまい、早い、安い」の三拍子は吉野家を表す言葉であるが時代によって順番が変わっている。この順番には意味がある。順番も含めたこれらの言葉は吉野家のコミットであり、それ以上のサービスを提供すべく努力しているため強烈なファンが生まれる。
吉野家以外にも牛丼を提供する店はあるが、味だけではなく吉野家が提供しようとしているサービスはまず無理。その理由を理解したい人には、この本はうってつけである。吉野家だけではなく、畜産、流通を含めてしっかりとした調査を含めて書かれている。