「Gボーイズ冬戦争-池袋ウエストゲートパークVIII」 石田衣良

ご存じIWGPの第7弾。いつもながら石田衣良の小説はライトタッチにもかかわらず、十分に楽しめる。身近な話題をうまく小説に取り込み、池袋の街で展開される。「要町テレフォンマン」では振り込め詐欺と引きこもりの若者がテーマ。電話ではいろいろな人格になれるが、直接話すのが苦手な若者が登場する。電話だけでなく、キーボードに向かうと強気になる人は意外に多いのではないか、と苦笑いしてしまった。「詐欺師のヴィーナス」ではリトグラフを売る女性が登場。そういえば昔、街のあちこちでこの手の詐欺があったな・・・と懐かしく感じた。「バーン・ダウン・ザ・ハウス」では自分の家に放火してしまった少年と池袋の街の連続放火事件。この話ではちょっとばかりミステリー的な要素で話が低回され、少年が傷つけてしまった祖母へ本心を打ち明ける。マコトの優しさが少年の心を開く。そしてタイトルにもなっている「Gボーイズ冬戦争」。ここの登場する「陰」はいずれまた登場するのでしょう。
マコトの視点、行動力に魅力を感じ、皆IWGPに引き込まれてしまうのだと思う。マコトの更なる活躍に期待。