ラストソング上映会


楽しみにしていた「ラストソング上映会」に参加しました。予定通り、会場の東宝砧スタジオまで歩いて行きました。天候は不安定な装いを見せることもありましたが、野川沿いを歩き始めたらちょっと汗ばむぐらいでした。少し寄り道しながら歩いていたら開演15分前でした。上映会は試写室で、会場には既に多くの方が座っていらして、結局一番前の右端の席を確保しました(左端は野沢さんでした)。
NHKのカメラも入っていながら、雰囲気は文化祭の出し物の感じでスタート。東宝の中川専務はこのラストソングが生まれた経緯と野沢氏との関わりを本当に懐かしそうに話されました。そしていよいよ映画がスタート。試写室というのは通常の映画館と違って本当に真っ暗になるんですね、これにはちょっとビックリしました。
最近の映画にはない映像も音声もちょっとノイズが混じった感じで始まりました。ブルースのようなジャズのBGMに乗せて安田成美演じる倫子のナレーションが始まる。「これは、まだアナログのレコードに針が落ちていた頃、青春も音楽も、あの塩化ビニールのドーナツ盤のように傷つきやすかった頃の物語だ」セリフだけど、野沢氏の価値観を感じるひと言。博多のライブハウス「飛ぶ鳥」最後のステージに立つ修吉(本木雅弘)にダマでギターにアンプを繋ぐ一矢(吉岡秀隆)。一矢のギターに痺れ、修吉はケンボーを切ることを決意する。深夜の操車場で、修吉は一矢にこう叫ぶ。「こんな真っ暗闇にいたら、すぐジジイだぞ。そのカンテラ、これから俺が持ってやるよ」このシーンが前半のクライマックスシーンで、撮影は川崎の操車場のこのシーン撮りから始まったとのこと。
一矢入った新生シューレス・フォーは売れずに地方周りへ。修吉はプロデューサー青木祥子(倍賞美津子)から一矢のマネージャを言い渡され、一方の一矢はスターにのし上がる。最後は一矢が苦悩の末、修吉に別れを告げ、コンサートのラストソングを修吉は海の中道のタクシーの放送で聞く。
変化に対して抵抗しながらも、いつか決断を迫られ、決断には別れが付きもの、というのがもう一つのテーマに見える。気付いたら泣いていました。
映画が終わり、当時プロデューサーだった東宝の瀬田氏から制作エピソードを披瀝していただきました。博多出身の修吉を描くためには、「スターになってライオンズを奪った西武球場を観客で埋め、天下を取る」という野沢氏のこだわり。実際にはスケジュールがかみ合わず、よみうりイーストで撮影したとのこと。でも、「10,000人の観客はCGではなく集めました」との苦労もあったようだ。瀬田氏曰く、「それぞれの人たちがこだわりで作った作品」と言われ、映画の出来と興行成績は違うものであるということがよく分かった。
最後は砧スタジオ正面で記念撮影。

野沢さま、関係者の皆さま、ありがとうございました。手作り感がある良いイベントだったと思います。ビデオがあってもスクリーンで見るのは違いますので、過去の作品をどう扱っていくか、という点でも今回のイベントは大きな意味があったと思います。