「マグマ」 真山仁

マグマ (朝日文庫)

マグマ (朝日文庫)

NHKの「ハゲタカ」で一躍有名作家になった真山仁の作品であるが相変わらず文章がすっきりしている。単行本で「ハゲタカ」を読んだ時に、「非常に文章力がある作家だ」と注目していながらこの「マグマ」はそのうちに・・・と放置してしまっていた。ちょうど書店で文庫を見つけたので、何も考えずに購入。
地球温暖化が急務なテーマの中、「地熱発電」をテーマにした小説に取り組むあたりは元ジャーナリストとしての「眼」からであろう。それもよりも、原油価格高騰を見越したアプローチはすごい、の一言である。真山仁の巧さはしっかりと調査や取材をして文章を書いているのもかかわらず、細かすぎず荒すぎずという絶妙のラインで書くところだろう。同じテーマで村上龍が書くとおそらく二倍のページ数になる気がする(そんな村上龍も好きなのだが)。つまりたくさんの人が苦労せずに読める、ということに繋がる。今後も良い仕事を続けて欲しい作家である。