思いを伝えるということ

初場所同様に今回の大阪場所千秋楽もたまたま実家でTV観戦。取り組みが始まる前は親父と一緒にうんちくを語り合い、両横綱の表情が画面に出るたびに自分自身の気持ちも昂ぶってくる。NHKのアナウンサーは雰囲気を盛り上げようと安っぽい質問を繰り返し、解説者は気の無い返事を返す。元同業の解説者たちは、「黙って見てろ!」というのが本音だったのではないか。それぐらい画面を通してでも伝わるものがあった。
初場所の取り組みは47秒という相撲にしては長丁場の対決だったが、今回は僅か4秒の勝負。おそらく技量だけで見たら、既に白鵬の方が朝青龍を上回っているように思う。しかしメンタルな部分のコントロールはまだまだ朝青龍の方が上手なんだろう。勝負がついた後のガッツポーズ、笑み、そして白鵬への態度とすべてが事前にイメージされていたことをおさらいしているかのような自然な動きだった。きっと朝青龍の中では勝負の前に既に勝っていたようである。
昨日はLiveを見にいって、とあるSoul BARのオーナーと話をしながら、「楽器がうまいやつは腐るほどいる」、という一言が非常に印象的だった。人の気持ちに伝わるかどうかは技術を超えたところにあり、それを掴むために練習や稽古をするのだろう。自分自身のために、日々是精進。2日連続で同じような気持ちになった出来事だった。