「呼人」 野沢尚
- 作者: 野沢尚
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/07/16
- メディア: 文庫
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他の野沢作品もそうであるが、常に「死」を感じさせる。「死」を意識することによる「生」を表現するためかも知れないが・・・・。この作品にはテロを通して愛や宗教観も描かれている。そう乱歩賞を逃した「魔笛」のモチーフが生きている。
後半に出てくる呼人のこのセリフは考えさせられる一言だった。
(「子供と大人の違いは何なのか」の答えとして)
「学習や経験じゃないことは確かだ。ぼくは十二歳のままでも、難しい勉強も吸収できたし、世間の荒波ってやつに揉まれて賢くもなった。ぼくは単なる十二歳の体つきをした大人なのかもしれないって思った時もある。でも違うんだ。ぼくには明日がいっぱいあるけど、大人の明日はだんだん少なくなっていく」