「瑠璃の契り-旗師 冬狐堂」 北森鴻

瑠璃の契り―旗師・冬狐堂 (文春文庫)

瑠璃の契り―旗師・冬狐堂 (文春文庫)

「緋友禅」に続く宇佐見陶子が活躍するシリーズ。表題作を含む短編3つと中編1つの構成になっている。旗師としては致命的とも言える異変が陶子に起き、それを乗り越えながらも選んだ道を突き進む姿は読者により緊張感を持たせる。本当はどうか分からないが、物語の中では「喰うか喰われるか」の骨董の世界で、自分自身の「眼」を信じ、「何が大事」かを基準に判断を下していく。いつしか陶子の生き様に乗り移ったように物語に吸い込まれていく。
また他のシリーズで登場する数々のキャラクターが登場するところも、ファンにはたまらないところでもある。読む順番が難しい・・・。表題作の「瑠璃の契り」の続編はいつ登場するのだろうか、と仄かに期待。