出会いはバーカウンターで

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プロローグ

美味しいものを口にした時のなんとも言えない幸福感。お店で提供される料理でもお店で買って家で食べるものでも、美味しさは必ずしも味だけではないはず。「誰と」だったり、「どんな時に」だったりと美味しさの周りにある数々のスパイスがその美味しさをひときわ際立たせる。そんな一つを今日は紹介しますね。

出会い

数年前から時々お邪魔する渋谷の隠れ家のようなお店にて一人で夜ご飯を食べていた時のこと。

普段より遅い時間だったので、いわゆる酒のアテではなく本当に食事になるようなメニューをお願いして、出てきたらとにかく空腹を満たすことに集中してました。一息ついた頃にマスターと自然にカウンターに並ぶ他のお客さんとの間の三角パスのような会話が始まり、突然「ヨーグルトを作っている会社で働いているんです」と名刺を渡される。酒場なので深い理由もなく他のお客さんと話すことはあるけど、あえて仕事の話を振るほど野暮ではないのでちょっとビックリな経験だった。

でも、ここからが面白かった。

ラブ・ストーリーは突然に」ではなく、「美味しいものは偶然に」

彼女が勤める会社は「岩泉ファーム」、会社は東京だけど工場は岩手県下閉伊郡岩泉町。盛岡から宮古に抜ける途中にある町で、彼女は宮古出身なのでそこがどんなところかよく知っているわけです。「人よりも牛の方が多いんですよお」と無邪気に話してくれた。僕も20代の頃に仕事で東北地方にはよく行っていたので、盛岡から宮古に抜ける道は何度か通ったころがあり、正直「何もない」という記憶しかない。

地元で採れた牛乳をちょっと変わった作り方で作っているらしい。その結果、特徴にもなっているのが容器(PREMIUMと呼ばれる商品のもの)。よくあるプラスチックの容器ではなく、シャンプーとかの詰め替え用に使われているようなアルミの袋に入っている。通常は発酵させてヨーグルトを容器に充填していくけど、岩泉ヨーグルトはこのアルミの袋に詰めてから発酵させるとのこと。さらにアルミの袋にも秘密があると説明してくれましたが、残念ながら記憶に残っていません(苦笑)

たまたまこのお店に持ってきていたのでちょっと試食という味見をさせてもらいました。はい、ちょっとビックリしました。ヨーグルトって固形部分と乳清部分に時間と共に分かれていくけど、ずっとねっとりとしたままなんです。そして、肝心の味はサラッとしているのに濃厚、とこれまでのイメージと全然違う。たしかに美味しい。

なにが違うの?

IwaizumiYogurt_2

会社のウェブサイトを見ると、

  1. ブレンドされた乳酸菌
  2. 製法
  3. 原料の牛乳というか牛の育て方

が違うと。1.の乳酸菌に特徴があるというのは、日本酒でいうところの麹が違うことで味わいが違っているのと一緒なのでしょう。2.の製法で言えば殺菌方法は低温で時間をかけて(これは牛乳でも違うよね)行い、アルミの袋に充填してから発酵させるのも特徴のようだ。

3.の牛の育て方で、「牛に無理をさせない」ってところがちょっといいかも。

一方で、弱点もある。手間を掛けて作っているのでそれほど生産量が期待できず、売っているところは限られる。実際に商品は紀ノ國屋とかで買えるらしいけど、ヨーグルトだけを買いに紀ノ國屋に行かないしなあ….と。で、内緒(?)で教えてもらったお店に何度か買いにいったけどいつも売り切れだった。

おまけ

10/13(水)までは新宿・高島屋の地下のシーズンイベントスクエアという場所に出店していて試食&購入ができる。

早速仕事に帰りに寄って、ヨーグルトの他にカステラとかりんとうも入手。加糖タイプのヨーグルトは冷凍するとシャーベットみたいになる(=分離しない)そうなので冷凍庫に保管中。ちょっと楽しみ。